もう一度あなたに恋したときの処方箋


(でも、夢じゃあない)

だって、高木さんと繋いだ手はホカホカと温かくなってくるし、彼の笑顔を見るとキュンと胸がときめいた。

「レセプションの日、祖母や姉やフリオに高木さんが会ってくださるなんて嬉しいです」

今の気持ちを少しでもわかってもらおうと笑顔を向けたら、少し微妙な顔をされた。

「フリオ? お義兄さんのことは、名前で呼んでるんだ」
「ええ。姉と結婚した時からフリオって呼んでくれって言われてます」

「で、俺のことは高木さん?」

クールな高木さんが、なんとなく拗ねたようにも見えた。

「あ」

「会社はともかく、ふたりだけの時はやめて欲しいかな」

「は、恥ずかしくて……」

今日はあれこれあって、もう私の許容量はいっぱいだ。
これ以上は勘弁してほしかったが、高木さんは真面目な顔で宣言する。

「じゃ、練習しようか」

「練習……ですか?」

「うん」

「……え~と、憲一さん」

目の前の大好きな人を名前で呼ぶと、また頬が火照ってきた。
おそらく私は真っ赤な顔になっているだろう。でも、高木さんは嬉しそうだった。
彼に喜んでもらえるなら、これから何度でも名前を呼んであげたい。

「君の家族にも挨拶できるし、俺も父親に君を紹介できるな」
「え?」

また高木さんがハードルを上げてきた。

「高木さんのお父さま?」
「あ、言ってなかったか。社長だよ。俺は母の姓だから高木だけど、正樹は父の佐藤を名乗っているだろ?」

佐藤……SKホールディングスのSは、佐藤のSだった?

「私なんかがご挨拶なんて……」

高木さんは私の唇に人差し指をあててきた。



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