イケメン検事の一途な愛
俺の口から歯ブラシを奪い取り、歯磨き粉が付いてるであろう唇にキスする彼女。
「んっンッ(待って)」
泡だらけの口で必死にもがきながら『待って』と伝えてはみるものの、止める気配が全くない。
そんな彼女のおでこを指で押し、引き離す。
すぐさま口の中の物を洗面台に吐き出し、口を濯ぐ。
彼女は鏡越しに不服そうに睨んでいる。
そんな顔も可愛くて、思わず吹き溢しそうになる。
タオルで口元を拭き、深呼吸。
「こんな時間にどした?」
「逢いたかったに決まってるじゃん」
「フッ」
お決まりのセリフなんだろうが、そんなことどうでもいい。
彼女から愛用のボディソープの香りがして、ドキッとした。
「で?」
「で?とは……?」
「逢えたじゃん」
「……ん」
「他には?」
「え?」
こんな時間にいい香り纏って男の部屋に来るもんじゃない。
どんな聖人君子だって、不埒な妄想すんだろ。
久しぶりに彼女と逢えたから、俺だって嬉しいに決まってる。
抱き締めたいし、勿論キスだってしたい。
けれど、感情に任せたら、どうなることか。
抱きつこうとする彼女の肩を掴み、冷たい態度を取る。
勿論、本心じゃないし、むしろ俺の方が抱きつきたいくらいだ。
必死に理性の手綱を引き締めて、クールを装う。
「明日も仕事だから、そろそろ寝ないと」
「ぎゅ~もダメなの?」
ヤバい。
可愛すぎる。
ぷくっと膨れた頬。
涙目の大きな瞳。
俺の服を掴む手。
どうしたもんかなぁ……。
大きな溜息をつき、抑揚のない声で告げる。
「明日は大きな裁判だから」
「………」