イケメン検事の一途な愛
「誰に……、奴か?」
俺の質問にこくりと頷く彼女。
脅されているとはいえ、交際自体は架空のはず。
「目、瞑ってて」
再び小さく頷く彼女の髪をそっと撫でて……。
ポケットから携帯電話を取り出し、今の彼女を何枚か撮影する。
今後のことも考えて、念の為に証拠として。
本当はそんなことしたくない。
例え夢であったとしても受け入れがたいのに。
鎖骨分が赤く引っかき傷のようなものがあるのに気づき、他にも傷があるのでは?と不安に襲われる。
「コート脱げるか?」
本心は布団で包んであげたいくらいだが、まだ早い。
俺の言葉に応えるように彼女は無言でコートを脱いだ。
パサッと床に落ちるコート。
そこから視線を持ち上げた、その時。
コントロール出来ないほどに感情が激しく震えた。
胸元を隠す為のブラジャーの布地にギリギリ隠れるほどの場所に、俺以外の人間が所有物かのような印をつけたようだ。
赤く鬱血したそれは、何かで傷つけられた傷とは違い、俺の感情を逆撫でする。
ワンピースの袖を優しく捲り腕を確認。
更に背中や足下に至るまで……。
目につく部分はすべて証拠として残した。
「着替え持って来るから、シャワー浴びて」
「………ん」
彼女が残して行った彼女の私物。
服だけでなく、化粧品や日用品に至るまでそっくり残してある。
いつ来てもいいように。
使ってないゲストルームから適当に着替え一式を手にして、洗面所へと戻ると。
彼女は泣きながらシャワーしていた。