イケメン検事の一途な愛
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「井川」
「はいっ」
「悪いが、午後半休取るから」
「え?」
「ちょっと急用が出来て」
「分かりました」
「終わり次第、時間が取れるようなら戻って来るから、定時まではいつも通りで」
「……はい」
深夜に、彼女が自宅マンションに来た翌朝。
公判廷の準備をしながら、検察事務官の井川に指示を出す。
午前中はどうしても抜けれない裁判がある。
それが終わりさえすれば……。
*****
「突然の訪問、申し訳ありません。検察庁の検察官、久我と申します」
朝一番でアポイントを取っておいた『リアルスター☆』の本社を訪れた。
来栖 湊が所属している大手芸能事務所と肩を並べる大手芸能事務所。
数多くの俳優やタレントが所属しており、社屋の至る所に広告用のポスターやパネルが飾られている。
この『リアルスター☆』という事務所に志田淳平が所属しているのだ。
「お気遣いなく」
スタッフが珈琲カップを俺の目の前に静かに置き、一礼して踵を返す。
突然、『検察官』という肩書の人物が本社を訪れ、しかも、『代表取締役』に会いたいとなれば、何事かと社内の雰囲気も悪くなるというもの。
そんなピリピリとした空間に、久我は単身で乗り込んだ。
「えぇ~話というのは、どのような御要件でしょうか?」
60代半ばといった感じの代表取締役社長の木島 篤志は、手に脂汗を掻きながら久我を見据えた。
「お時間取るのも何ですので、単刀直入に申し上げます」
久我は木島を鋭い視線で射竦める。
「『Rainbow Bridge』所属の来栖 湊さんと御社に契約所属している志田淳平さんが半月ほど前から交際しているとの件で、本日は伺いました。二人の関係性はご存じでしょうか?」
「はい、志田の方から真剣に交際していると聞いてますが」
「そうですか」
「それが、……何か?」