イケメン検事の一途な愛
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「濃い目の珈琲頼む」
「はい」
担当する案件が多く、裁判準備に手間取っている。
疲労が蓄積し、視力が低下しているようだ。
パソコンの文字が時折ぼやけて見える。
「明後日使う陳述書はどこだっけ?」
「陳述書は机の左上、昨日の検視結果は緑のファイル、今日の送致者名簿は黄色いファイルです」
「……了解」
公判手続きに使う陳述書を探し出し、目を通す。
続けて証拠調べに使う資料に目を通して……。
検察事務官の井川日葵が淹れたての珈琲を置いた、その時。
井川の携帯電話がブブブッと震えた。
久我の執務室では、勤務中は音が鳴るようにしてはいけない。
緊急な用事がある時は、直接執務室に電話をかけなくてはならない。
仕事に対して一切の妥協をしない久我にとって、勤務時間内にプライベートを持ち込むのは以ての外なのだ。
「えっ?!」
自身の携帯電話を確認した井川は、無意識に声を発していた。
「あ、……すみません」
じろりと鋭い視線を突き刺す久我に委縮しながら詫びる井川。
「何か問題でも?」
稀に家族からメールを受信することもある。
だから、絶対に携帯電話を見てはいけないわけではない。
何かあったのかと思い、久我は手元の資料に目を落としながら井川に声を掛けた。
「女優の来栖 湊が撮影中に怪我したみたいで、病院に救急搬送されたとトップニュースが」
「ッ?!」
「………すみません、仕事します」
井川の言葉に反応するように久我の手はピタリと止まり、目が大きく見開いた。