イケメン検事の一途な愛

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朝一で注文した商品が昼過ぎになって次々と届き始めた。

最初の配達の際に、マンションのコンシェルジュの男性に『家族』だと話しておき、数日の間はかなりの量の配達があるはずだと伝えておいた。
毎回部屋へと届けなくても大丈夫なことも加えて、出来るだけ住人である彼に迷惑がかからないように細心の注意を払う。

食料品などは比較的早くに配達され、昼過ぎには玄関前に大量の商品が届いた。
勿論、コンシェルジュの方に私だとバレないように、玄関前に置いて貰うことにしたのも抜かりはない。

玄関を静かに開け、人気が無いことを確認して、素早く中に荷物を入れる。
2畳ほどある広めの玄関に積み上げられた段ボールと発泡スチロール。
冷蔵、冷凍の商品から仕分けして、次々と冷蔵庫とキッチン周りを埋めていった。

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配達された箱を開けると、文房具が出て来て手が止まった。
衣料や日用品、食料品と違い、一瞬で心の温度が凍り付く。

昨夜思い出した記憶を整理する為に購入したものだ。
避けては通れない。
後回しにしたところで何の解決もしないのだから。

はぁ……。
大きな溜息が漏れる。
暫しそれらを見つめ、意を決した。

「よし、やろう」

リビングのソファーに腰かけ、思い出した記憶を箇条書きに書き留める。
時系列は後回し。
記憶が曖昧になる前に、思い出した断片を少しでも多く書き留めないと。

思い出すだけで息苦しくなる。
直ぐにでも書いたページを破り捨てたいほど。
けれど、自分のためにも両親のためにも、養父である社長のためにも後戻りはできない。

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