イケメン検事の一途な愛
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午前11時半。
執務室の机の上に翌日に使う公判資料が山積みされている。
「近藤君、お昼ご飯はどうする?何か持って来た?」
検察事務官の井川が、司法修習生の近藤佑に声を掛ける。
「何も持って来てません。久我検事と井川事務官はどうされるんですか?」
今年の司法修習生は意外と使えそうだ。
メモする速度も速いし、指示した作業をそつなくこなしている。
大学4年時に司法試験に合格したというのだから、優等生の部類に入るだろうな。
司法試験に合格する平均年齢は28歳。
大学や大学院を卒業し、就職したのちに合格する者が多い中、現役で合格出来るのはかなり優秀な方だ。
とはいえ、俺ほどではないが。
俺は18歳高校3年の時に司法試験に合格した。
未だにこの記録を破った者はいないらしい。
「久我さん、お昼はどうします?出前取ります?」
「あ、悪い。ちょっと用があって出るから」
「そうなんですね。じゃあ、近藤君、他の司法修習生に声掛けてみて。特に決まってないなら、食堂で食べようか。食券式になってて定食450円とかで安いから」
「え、そんなに安いんですか?」
「フフッ、高いのもあるけどね」
井川と近藤が昼ご飯の相談をしてる間、俺は来栖 湊へ電話を掛けるが繋がらない。
連絡先を削除するのをすっかり忘れていたため、携帯電話の電話帳に彼女の番号が残っていた。
10時過ぎに入れておいたメールの返信も未だない。
もしかしたら、部屋で倒れてるんじゃないかと心配になる。
12時05分。
「午後は現場検証に行くから昼食後に準備しといて」
「はい」
俺はジャケットを羽織り、自宅へと向かった。