イケメン検事の一途な愛
「聞かないんですね」
「……何を?」
「私が……ここにいる理由を」
昨夜突然押しかけても怒りもせず、今朝だって出勤前の忙しい時間に物の場所や使い方を丁寧に説明してくれたし。
お昼の時だって、わざわざ帰宅してまで一緒に食事してくれた。
そして、こうして何事もなかったように平然と珈琲を口にする彼。
反対の立場だったら多分、『何かあったんですか?』と聞いてしまいそうだ。
「言えることなら聞かなくても言うだろうし、聞かれたくないから話せないんだと思ってる」
「………」
痛い所というより、核心的な所を一撃で仕留められた。
彼の言うとおりだ。
説明出来るならちゃんと説明してる。
どこから話したらいいのか。
自分自身、まだ記憶が曖昧な部分が多く、整理出来てない。
十分迷惑をかけているのは承知している。
遅かれ早かれ彼にはきちんと伝えないと。
それに………。
「あの……」
「ん?」
「聞きたいことが山のようにあるんですが」
「聞きたいこと?」
私がここに来た理由の一つ。
彼が検事だということ。
事務所の顧問弁護士に聞くという手もあるが、出来るだけ自分で調べたい。
15年という歳月が経っているため、恐らく調べるのも無理に近い。
素人が調べようにも方法すら分からず、調べたところで専門用語なんて理解出来ないだろう。
だから、彼には申し訳ないけど。
ほんの少しでいいから力を貸して欲しくて。
「実は、………昨日の事故が原因で過去の記憶を取り戻したんです」
「え?」
「忘れていた両親のことも思い出せましたし、その当時の記憶も少しずつ……」