イケメン検事の一途な愛
やっぱり一人で調べるのは無理そうだ。
犯人を捜したいわけじゃないし、事件の真相を知りたいわけじゃない。
過去に戻ることは出来ないから、この先の人生をどのように生きて行けばいいのか。
その判断を下すために、過去と現在を区切るための材料が欲しいだけ。
失った過去を過去と捉えて。
今の自分を否定しないために。
そして、この先の人生を歩むうえで自信をもって生きていきたいから。
誰かに背中を押して欲しいんだと思う。
どんな決断をしようとも、後悔しないように。
あまりにも重すぎる現実を受け入れるのに、今は一人じゃ無理だから。
カップの中の珈琲に映る自分を見つめて、交差する心境を整理する。
分かってる。
どこかで妥協したり我慢しなくちゃいけないことも。
その妥協点がどこにあるのか。
どこまで我慢したらいいのか。
それを見定めないと。
「あのさ……」
ん?
今、声がしたような。
珈琲から視線を彼に向けると、彼は『う~ん』と唸っている。
「どうかしました?」
「いや、大したことじゃないんだけど」
「はい」
「何て呼んだらいい?」
「へ?……あ」
確かに。
お互いに声を掛ける時に気まずいのは確かだ。
「私は……」
来栖 湊?
それとも、榊 美雨?
彼には本名を伝えて良さそうだが、なんかちょっと恥ずかしい。
みなと、みう、……どちらも『み』がつくから。
「みーちゃん?みぃちゃん?みーさん?」
「え?」
突然フレンドリーすぎる呼び名を提案した私を凝視する。
ハードルが高すぎただろうか?
完全に引いているよ。