イケメン検事の一途な愛
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検視立ち会いを終え、その足で司法修習生のために現場検証を1件こなす。
既に警察による現場検証は終わっている現場だから、見落としが無いか確認する。
「おいっ、足下気をつけろ」
「あ、はいっ、すみません」
壁に付着している血痕や椅子の周りに記されている鑑識の印を目を凝らして見ている修習生の近藤。
椅子に座っている状態で殺害されていたこともあり、その周辺は特に注意を払う場所だが…。
密室に近いこの室内のどこに鍵となる証拠が埋もれているか分からない。
なんともなさそうな床であっても安易に動き回るのはタブー。
初めての現場検証の現場で、興奮気味の近藤を窘めながら……。
「そろそろ終わりにするが、何か質問は?」
必死にメモをしている近藤に声を掛ける。
「この現場検証って、1度しか来れないんですか?」
「いや、特に決まりは無いが」
「では、明日も明後日も来ていいってことですよね?」
「……可能は可能だが、他にも案件抱えているからここに割ける時間はそれほど多くないぞ」
「あ、……なるほど」
近藤は判例を調べたり調書を纏めたりするような事務作業は好きじゃなさそうだ。
庁舎を出た途端質問攻めに遭い、終始目を輝かせている。
庁舎内で見る表情とは別人と思えるほどに。
まぁ、最初は誰もそんなものだが。
「じゃあ、今日はここで解散ってことで」
「はい!お疲れ様でした!」
現場検証を終えたら、現地解散すると事前に話しておいた為、俺はその場で近藤と別れた。