離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 彼は純玲の鎖骨に噛みつくようにキスをした。唇は徐々に胸元に下がっていく。

「……んっ」

 時折チクっとした痛みを感じる。でもそれすらも心地よかった。

 好きな人に求められることが嬉しくて、溢れる想いのまま純玲は胸元で動く彼の髪をかき分けるようにする。
 この艶やかな黒髪が見た目より柔らかいことを知ったのも、初めて抱かれた夜だった。

(バカだ、私、本当は初恋を吹っ切れてなかったんだ……そんなこと今更自覚するなんて)

 初めてを捧げたのも、契約結婚をしたのも彼だからだ。どんなに事情があってもきっと他の男性となんてできなかった。
 しかし、純玲が自分を保てていたのはこの時までだった。

「や、泰雅さん……あっ……」

 胸元にあった彼の唇がウエストを過ぎ、あらぬところまで降りた。
 純玲の声は切羽詰まったものに変わる。

「ん、だ、め……やっ……!」

「は……君の身体はどこもかしこも甘いな。ずっと味わっていたくなる」
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