俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
指輪の話題も一度も出なかったのに今回こうして購入することになったのは、私たちの想いが通じ合って本物の夫婦になれたからだと思う。
幸也さんが結婚式を挙げようと提案したのも指輪と同じ理由からだろう。
「俺も芙美のウエディングドレス姿を見たいし、お前の父親だって娘の晴れ姿は見たいだろ」
幸也さんが何気なく口にした〝父親〟の言葉に表情が曇る。
「どうでしょう。たぶん父はそこまで興味がないと思うから、私は結婚式は挙げなくてもいいと思います」
父は私に関心がない。結婚式を挙げると言えば父親として出席してくれるかもしれないが、そこまで強い思い入れはないはず。それに、父と一緒にバージンロードを歩く姿が想像できない。
「いや、式は挙げる」
幸也さんがはっきりとした口調でそう言った。
「芙美のためにも挙げた方がいいと俺は思う。父親とこのままの関係でいいなんて思ってないだろ」
彼の言葉に目線が落ちた。それから胸の内にある本音を口にする。
「できることなら父に認めてもらいたいです。今の私のことを……」
医学部に落ちて、それでも医療系の道に進もうと思ったのは、医師である父と同じ世界で働きたかったからだ。そうすればいつかは認めてもらえると思った。