俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「それならなおさら結婚式は挙げるべきだ。それをきっかけにお前の気持ちを父親に伝えろ。俺も隣にいるから」
「幸也さん……」
彼の腕が私の腰に回り、そっと引き寄せられた。そのとき――。
「――もしかして、早瀬さん?」
私たちの後ろから女性の声が聞こえた。
振り向くと、ダークブラウンのロングヘアを緩く巻いた二十代ぐらいの女性が私たちに視線を送っている。私の知り合いではないので幸也さんに声を掛けたのだろうか。
女性がパッと華やかな笑みを浮かべてこちらに向かって駆けてきた。
「こんなところで早瀬さんに会えるなんて嬉しい! お買い物ですか?」
女性の視線が私に向かう。先ほどまでの笑顔をすっと消して、まるで私のことを値踏みするかのように目を細めてじっと見つめた。
「この人が早瀬さんの奥さん? ふーん……思っていたよりも普通。というか地味」
また地味と言われてしまった。事実なので仕方ないけれど、面と向かってはっきり言われるとさすがに落ち込む。
「智花さん。それは俺の妻に失礼じゃないか」
しょんぼりと肩を落とす私の前に幸也さんがすっと現れて、私のことを背中に隠した。