俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

〝智花さん〟と呼ばれた女性は「ごめんなさい」と謝罪の言葉を口にする。

「でも私、思ったことをすぐに言っちゃうから」
「そういうのは直した方がいいんじゃないか」
「あら? どちらかというと早瀬さんも私寄りの性格よね。だから似たもの同士でお似合いだと思ったのに、どうして父の話を断ってその人を選んだのかしら」

父の話……。智花さんのその言葉にピンときた。

もしかして彼女は幸也さんの恩師である神名先生の娘かもしれない。以前、性格がきつい女性だと幸也さんが話していたことを思い出す。

「父を慕っているなら、娘の私と結婚をすればよかったのに」
「それはまた別の話だ。俺は神名先生のことは尊敬しているが、きみのことはそこまで好きじゃない。さっきのように俺の妻に失礼な発言をするところなんかは特にな」
「なっ……」

幸也さんの背中からそっと顔を出して智花さんを見れば、悔しそうに顔を歪めていた。そんな彼女に追い打ちでも掛けるかのように幸也さんがさらに言葉を続ける。

「ごめんな。俺も智花さんと似たような性格だから、思ったことがすぐに口から出るんだ」
「早瀬さんこそ、そういうところ直した方がいいんじゃないの」
「そうだな。肝に銘じておくよ。――行くぞ、芙美」

幸也さんが振り返り、私の肩を抱くとそのまま歩き出した。
< 125 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop