俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
そのあとどうやって自宅に戻ったのかはわからない。気が付くと、キッチンに立って夕食の支度をしていた。
出来上がったものをひとりで食べて、幸也さんの分にはラップをかける。
シャワーを浴びてからリビングのソファにぼんやりと座っていると、いつの間にか夜の九時を過ぎていて、玄関の扉が開く音が聞こえた。幸也さんが帰宅したのだ。
すぐに自室に向かったようで、少ししてからリビングに入ってきた彼に「おかえりなさい」と声を掛ければ「ただいま」と返ってくる。けれど、その先の会話が続かない。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した幸也さんが、それをコップに注いで口を付けている姿を見つめる。
本当は、彼と仲直りするはずだった。
陸くんと抱き合っていたことを謝って、そのあとで抱きついて可愛く甘える。そうすれば幸也さんの機嫌が直ると教えてくれたのは未華子先生だ。
『意外と早瀬くんはストレートな愛情表現に弱いのよ』
どうして彼女がそんなことを知っているのだろう。あのときは疑問に思わなかったけれど、ふたりが元恋人同士だったと知った今は疑問しか浮かばない。
未華子先生もそうやって幸也さんに甘えていたのだろうか……。
想像するだけで胸が張り裂けそうに苦しくなる。