俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない


その夜、自宅のソファに座りながら、かれこれ三十分はスマホと睨めっこを続けていた。

画面に表示されているのは父の名前で、ボタンをタップすればすぐにでも電話が繋がる状態だ。でも、それができない。

「やっぱりこわい」

ついにスマホをソファに置いてしまう。

未華子先生には父に話したいことがあると言ったけれど、あれは彼女を心配させないためのとっさの嘘だ。できることなら父と話したくない。

だけど山之内さんの連絡先を手に入れるためには父に聞くしか方法がない。

「未華子先生のためだ」

勇気を振り絞り、再びスマホを手に取った。

通話開始のボタンをタップしようとしている人差し指が緊張でぷるぷると震える。それでもゆっくりと画面に近付けていき、あと少しで触れそうになった、そのとき――。

「――ただいま」

リビングの扉が開いて幸也さんの声が聞こえた。

突然のことに驚いて、思わず体が跳ねてしまった私の人差し指がうっかりスマホの画面に触れている。

「あああ! 電話掛けちゃった」

気が付くと呼び出し中になっていた。

父に電話を掛けようとしていたのだからそれでいいのだけれど、まだあと少し心の準備が必要だったのに。
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