俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

『山之内くんの連絡先を教えるのは構わないが、理由を教えなさい』

父の言葉に頭を悩ませる。山之内さんに想いを寄せている同僚がいるから連絡先を教えてほしいと正直に伝えるわけにもいかない。

どうしようかと考えながら、ふと視線を隣に送り、ハッと閃いた。

「幸也さんに頼まれたの」
『早瀬くんが?』

父の声と同時に隣からも「はぁ⁉」と再び低い声が聞こえる。もちろん幸也さんが山之内さんの連絡先を知りたいなんて嘘だ。でも、この理由で聞き出した方が自然だと思った。

すると幸也さんもなにか事情があると察したのだろう。ムスッとした表情を浮かべながらも黙って私のことを見ている。

「この前、山之内さんが学会で東京に来たとき、うちの病院に顔を出してくれて。そのとき幸也さんとも話をして意気投合したみたい。連絡先を聞き忘れたから知りたいって頼まれて」
『そうか、わかった。あとで芙美宛てに山之内くんの連絡先を送っておく」
「ありがとう」

これで山之内さんの連絡先を無事に手に入れられそうだ。あとは未華子先生に伝えるだけ。

「要件はこれだけ。忙しいのにありがとう」

すぐにでも通話を終わらせようとすれば、それを止めるように『芙美』と父の声が私を呼んだ。
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