俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
『早瀬くんとの生活はどうだ。うまくいっているのか』
「うん、大丈夫」
父が珍しく私の様子を尋ねてくるので驚いてしまう。
『仕事はどうだ。家事と両立できているのか』
「それも大丈夫」
『そうか』
それから父は黙り込んでしまい、しばらく沈黙が続いた。
このまま通話を終わらせてもいいのだろうか。迷っていると、『芙美』と父がまた私を呼ぶ。
『お前に話したいことがあったんだ。ちゃんと顔を見て伝えるべきだと思ったが、少しでも早くお前に謝りたくて』
「謝る?」
父の口から告げられた意外な言葉に目を丸くする。
『お前たちが結婚の報告に来たときから、早瀬くんの言葉がずっと胸に引っ掛かっている』
隣に座る幸也さんをちらりと見た。スマホから声が漏れて、彼にも父の言葉が聞こえているのだろう。私と顔を見合わせながら不思議そうな表情を浮かべている。
『芙美のことを出来の悪い落ちこぼれだと言ったとき、早瀬くんが反論しただろ。芙美は優秀だと、普段のお前の仕事振りを私に教えてくれた。それを聞いて、反省したんだ』
父がぽつりと語り出す。
『お前のことを医学部に入れたいがために子供の頃から厳しく育てすぎたのかもしれない。私の思い通りにならないお前のことを、落ちこぼれや出来が悪いと言って罵った。芙美には芙美の良いところがあるはずなのに、お前のことをしっかり見ようとしなかった』