壊れるほどに愛さないで
「小さいな……」
営業車の中で、缶コーヒー片手に、この時期に必ず買う新聞の一面へとページを捲れば、4年前の事件が、小さく掲載されている。
あの日、美野里に何て言えば、引き留めることができたんだろうか。何て言えば、僕の気持ちを受け入れてくれたんだろうか。
ーーーー美野里を誰にも渡したくなかった。美野里を愛していたから。ずっと、美野里だけを見ていたから。
僕は、手に握りしめていた、スマホで美織にメッセージを送る。
『どうしても会いたい』
きっと返事は、こないだろう。そんな気がした。それでも僕はもう、二度と後悔したくはないから。美織だけは、どうしたって手放すことができないのだから。
「誰にも渡さないから」
僕は、曇天を眺めながら、呟いた。