壊れるほどに愛さないで
「気を遣わせてる?ごめん、うまく対応できたかわかんないけど。でも、これからも何でも言ってよ、美織の……力になりたいし。あとさ、今日の手紙だけど、朝、営業所周りぐるっと見て回ったんだけど、特に怪しい奴はいなくてさ、ごめん」 

私は、首を振った。

「無言電話も気になるし、暫く、俺、帰り送るから」

「だ、だめだよ、営業車乗せてもらってるのバレたら、雪斗に迷惑かかるから」

「迷惑だなんて思ってないよ」


ーーーー鼓動が、大きく跳ねた。


『迷惑だなんて思ってないよ』 

雪斗の言葉が、雪斗の声が、繰り返し聴こえて、心が、ぎゅっと締め付けられる。

どこかで……この言葉を雪斗に言われた気がするのはなぜだろう。

「美織?どした?」

「あ。なんでもない」

思わず視線を壁際に移すと、私は、とくとくと騒がしい鼓動を隠すように、集合写真を見るフリをした。


(……あれ?あの人……)

「どした?」

集合写真の二列目の1番端に写る人物に見覚えが、あるような気がした。

ーーーーちょうど、その時だった。
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