壊れるほどに愛さないで
「あっ……雪斗っ……待って」 

「もう、俺、待たないって言ったじゃん」

雪斗の言葉を反芻しているうちに、あっという間に体の奥から、熱の塊が込み上げてくる。

「美織」

「ゆき……とっ……」

私の名を呼ぶ雪斗の声を聞きながら、私が腰を高く上げると同時にスプリングが小刻みに軋む。すぐに熱の塊は、体の外に向かって弾け飛んだ。全身の力が抜けて、浅い呼吸を繰り返す私を見下ろしながら、雪斗は、指先を私から抜き出すと、すぐに大きく足を開いた。


ーーーーピンポーン


その音に、私と雪斗は、玄関先を振り返る。

「……え?だ、れ……?」

「見てくる」

雪斗が、すぐに起き上がると、ズボンを履いて玄関先へと歩いていく。嫌な予感がした。

(もしかして……友也?)

私は、慌てて鞄をひっくり返して、スマホを確認するが、友也から連絡は来ていない。私もさっと洋服を身につけると、すぐに玄関先へと向かった。

見れば、玄関扉の覗き穴から、雪斗は、外を確認している。

「雪斗……誰か……いる?」

「う、ん。いや、誰も居ない、ちょっと開けるな」

雪斗は、私が服を着ているか確認してから、玄関扉を開けた。
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