壊れるほどに愛さないで
僕は、怖がって震えている美織を抱きしめると、そのまま、美織を抱えるようにして、美織の家へと帰ってきた。

電気を点けると、すぐにカーテンを閉めながら、僕の目の端に、缶コーヒーの空き缶が映った。

(煙草の吸い殻いれか……)

2週間程前くらいだろうか?

僕は、電信柱の陰から、美織の部屋に雪斗が、入っていくのを見ていた。

その日から、時間の許す限り、ほぼ毎晩、美織が、無事に帰宅しているか、僕は、密かに見守っていた。いつも隣に雪斗がいる為、声をかける事は出来なかったけれど。それでも、美織の為に、何かしたかった。美織が大切だから。

「美織、お湯沸かすね、少し座ってて」

美織の表情は、まだ固い。当たり前だ。あんな目に遭ったのだから。

(一体誰なんだ?!アイツ……?!)

僕は、美織に最後に会った夜、美織の言葉が、ずっと気になっていた。美織は、僕の引き出しに入っていた美野里の盗撮写真を見て、僕が撮ったと思っているみたいだったこと。

そして、美織が、今ストーカーに遭っていること。

(美織は、今度こそ僕が守ってみせる)

僕は、ポットでお湯を沸かすと、美織のお気に入りの白いマグカップにココアを注ぐ。僕も、美織が、僕の為に買ってくれた、アクアブルーのマグカップに同じくココアを注いで、テーブルに、ことんと置いた。隣に座ると、美織は、まだ小刻みに震えている。

「美織……もう大丈夫だから……」

抱きしめようとして、挙げた腕を僕は、そっと下ろす。代わりに、ジャケットを脱ぐと、美織の肩にそっとかけた。

「友也……ありがとう……」

美織は、目に涙を溜めたまま、僕を見た。
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