壊れるほどに愛さないで
「違っ、その……まだ、いや、ないよ」

「あー……成る程ね、未遂に終わった訳ね、とりあえずは雪斗君、我慢したんだ」

「我慢って……」

「美織みたいに可愛い子、酔っぱらって寝ちゃったら、10人いたら10人襲うから!」

和に、ビシッと人差し指を向けられる。

「……そんなこと……」

「ま、美織にしては、すっごく珍しいと思うよ、こんな大胆に行動するなんて」

「自分でも……どうしちゃったんだろ。でもどうしても……気になるの……雪斗が」

和が、紙コップに、緑茶のティーバッグを入れお湯を注いでいく。

「雪斗ねー。本当珍しいね。美織が、呼び捨てしちゃう位だもん」

「は、恥ずかしいよ……」

「ま、でもさ、様子見てみたら?気になる、その理由が分かるかもしれないし、ただの一目惚れかもしれないしね」

「一目惚れ?友也もいるのに……」

ポツリとつぶやいた私に和が、少しだけ躊躇(ためら)いながら、口を開いた。

「……ちょうど昨日、恭平から聞いたんだけど、雪斗君、未だに元カノの事が忘れられないみたいよ」

「え?」

私は、自分の着ている、紺色のワンピースに視線を落とした。
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