エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 きゅ、と唇をかむと、静かに昴さんが口を開いた。

「……でも、3か月後、旅行に行かないか。1年の期限の前に休み取るから」
「ほ、本当ですか?」
「あぁ」

(休みとる、なんて初めて言われた!)

「よかった、嬉しいです!」

 思わず笑う。
 私も一緒にいられる最後の数日、ゆっくり休ませてあげたい。

「熱海とか? 家でもいいですよ。ゆっくりできるといいですね」
「考えたんだが、パリはどうかな」
「え……」

(パリって、あのパリ? フランスの?)

 私が目を開くと、それを見て昴さんが優しく笑う。
 嬉しい。嬉しいけど、いいんだろうか。

「ほ、本当に、い、いいんですか? 一緒にいけるの?」
「あぁ。香澄は嫌か?」
「まさか!」

 休みだけでなく、海外に昴さんと行くのも初めてで、私は嬉しくてたまらなくなった。

 昴さんとの最後の思い出ができる。
 そう思うと、ただ嬉しかったんだ。
< 82 / 219 >

この作品をシェア

pagetop