エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 期限があるから幸せな気分に浸れるんだと思ってる。
 兄は少し間を置き、また口を開く。

「……本当に一年で離婚するのか。もし、昴が続けたいって言っても?」
「そもそも昴さんはそんなことを言わないと思うけど……もしそうでも、決めてるの。私の人生に昴さんを巻き込む勇気がない」

「巻き込むって……俺が言うのはなんだけど、お前のほうが、もうずいぶん巻き込まれたろ」

 兄がぴしゃりと言うと、私は兄をまっすぐ見て首を横に振る。

「そうじゃない。私が好きで近くにいたの。今だってそう。いくら兄さんでも、私が好きでやってることを昴さんのせいにするなら許さないから」
「…………」

 兄は言葉に詰まった。
 しかし、少しして言う。

「……どちらにしても、一年だけって決めてるんだな」
「うん。母さんと父さんには秘密ね」
「それはいいが……その先の人生をきちんと考えろよ」

「うん」

 兄が心配してくれているのも分かる。
 妹が決めた一年の契約結婚。

 怒られて呆れられて、それでも今は分かってくれてる。
 兄だからこそ分かってほしかったので、少しでも納得できるように私の気持ちを何度も話した。
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