内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
「こちらとこちらをお勧めします。ぜひ開いてみてください。お客様の心が必要としているのは、絶対にこの本です」

自信満々で選んだのは、動物の赤ちゃんの写真集と世界の絶景百選だ。

彼は唖然として言葉もなく、その顔を見て果歩の自信が揺らいだ。

(喜んでくれない。私、間違えた……?)

無言で見つめ合ってしまったら、慌てたように店長が駆けつけた。

「相原、お前はまたお客様に迷惑をかけているのか!」

過剰な接客で叱られたのは初めてではない。

大学受験を諦めたばかりだという客の事情を知らずに、キャンパスライフの青春物語を勧めてしまったり、可愛い赤ちゃんを抱っこした母親に張り切って数十冊の絵本を紹介し、長く引き留めてしまったりしたことがある。

その時にも店長に止められて、バックヤードで説教された。

今回のビジネス書を探している客に写真集を勧めたことについても「常識で考えろ」と叱られた。

首をすくめつつ、果歩は弁明する。

「お仕事に行き詰っているご様子でしたので、気分転換というか心の癒しというか、そういった本がいいと思ったんです」

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