内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
「それを余計なお世話というんだ。ほら、お客様に謝りなさい」

「申し訳ございませんでした……」

写真集を胸に抱いて深々と頭を下げたが、半分は納得していない。

(まだ写真集の中を見てもらっていないのに、余計なお世話だと決めつけるのは早いと思う)

答えが出せない壁にぶつかった時はいったん保留し、他のことをしてみる。

心をリラックスさせ頭を柔らかくすれば、ふと解決法を思いつくかもしれない。

難しく考え過ぎていただけで答えは単純明快だったという場合もあると、果歩が以前読んだ本に書かれていた。

口を尖らせたい気分だが、客前で店長と言い合いするのは失礼なのでグッとこらえた。

「お客様、大変申し訳ございませんでした。この子は人一倍仕事熱心で、それはいいんですが、どうにも空回りしてしまい……」

果歩が入社してからというもの、店内は花が咲いたようにカラフルなポップであふれている。

本を読んでほしい、楽しんでほしいという果歩の熱意の表れだ。

書店員の仕事は届いた新刊を運んだり、売れ行きの悪い本を出版社に返品したりといった作業もあってなかなかの重労働である。

< 11 / 157 >

この作品をシェア

pagetop