内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
激昂する兄の腕にしがみついた果歩は、必死に止めようとした。

「二発目を食らいたくなければ帰れ!」

「卓也さん、早く外に……」

果歩が止めていられるうちに逃げてほしいのに、卓也は体勢を整えただけで出ていかない。

「何発でもどうぞ。私は引きません。これが誤解を解く最初で最後のチャンスだと思っていますので。果歩と話をさせてください。お願いします」

(誤解?)

意志の強そうな目が果歩に向けられ、鼓動が跳ねた。

(話くらいなら……)

誤解という言葉に心が揺れ始める。

また騙されて傷つくだけかもしれないのに、もしかするとあの突然の別れにはなにか仕方ないと思える事情があったのではないかと期待した。

「お兄ちゃん、私、卓也さんの話が聞きたい。別れる時にちゃんと話せなかったから、いまでもモヤモヤしているの」

果歩が真剣な目を兄に向けると、やっと拳を下ろしてくれた。

「まったくお人好しだな」

仕方ないと言いたげにため息をついた兄が、卓也を睨みながら言う。

「上がれ。話だけ聞いてやる」

「ありがとうございます」

卓也は深々と頭を下げ、ホッと息をついていた。

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