内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
「俺が果歩にプレゼントしたかったんだから、気にしなくていい」

(卓也さんがお勤めの製薬会社はお給料がすごくいいのかも。それにしても身に余る贅沢)

果歩が生まれて間もなく、両親は離婚している。

母は一生懸命に働いて果歩と兄を育ててくれたが、金銭的に余裕のない子供時代を過ごしたせいで大人になっても贅沢をするのに気が引ける。

しかし素直な性格なので、卓也がそう言ってくれるならと笑みを浮かべた。

「嬉しいです。大切に使います」

「ああ。喜んでもらえて俺も嬉しい。ジュエリーを身に着けると大人っぽくなるな。無邪気に童話を読んでいる果歩は可愛くて、それもいいが」

「えっ」

子供向けの本を読むのは書店に勤めているからだ。

内容を知らずに勧められないというのが果歩のモットーなので、出版社の人に内容を聞いたり、見本誌を送ってもらったりして読んでいる。

自腹で月に数万円分の新刊購入もしており、一日平均五冊は本を読んでいた。

< 4 / 157 >

この作品をシェア

pagetop