内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
冷たい声ではっきりと言われ、果歩は動揺する。

(私は加害者になってしまうんだ。慰謝料はいくらくらい? お嬢様なら金銭感覚が庶民の私と違って高額請求されそう。払えないよ)

果歩の心の傷に値段をつけられたような気がするので、三百万円の手切れ金は絶対に受け取りたくない。

貯金はしているものの通帳残高は六十万円ほどで、きっと慰謝料には足りないだろう。

果歩に選択の余地はなく、「わかりました」と呟いた。

「今すぐに別れていただけるんですね?」

「はい」

うつむいてため息をついたら、場違いに活気のある声をかけられる。

「随分お待たせしてすみません。レモンスカッシュとホットコーヒーです。今日はアルバイトが休んだものだから、てんてこまいで」

飲み物をテーブルに置いた店主は、顔を上げた果歩に笑みを向ける。

入店時にゆっくりでいいと果歩が優しい声をかけたので、きっと今も労ってくれるのではないかと期待しているような顔だ。

しかし店主のフォローをする心の余裕がない果歩は、逸らした視線を窓の外へ向けた。

(だいぶ小雨になった。もうすぐやみそう)

「ご、ごゆっくりどうぞ」

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