内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
(タイトルに雨がつく本は、今うちの書店にどれくらいあるだろう。『みろく亭の雨宿りご飯』『こぐまちゃんはあめがすき』『雨宮一夫の事件簿』、それから『そんじょそこらの雨女』。この本、面白かった。主人公は自分の真上だけ雨が降っちゃうような雨女のOLで、製薬会社に勤めているのが卓也さんと同じで……ああっ、もう、卓也さんのことは考えたくないのに!)

「終わりましたのでお返しします」

飛島に声をかけられてハッと我に返った。

スマホを受け取りショルダーバッグにしまうと、すぐに帰ろうと立ち上がった。

「この封筒はどうなさいますか?」

「私はいりません」

「そうですか。ではレモンスカッシュは?」

それもいらないと言おうとしたが、忙しい中で作ってくれた店主に悪い気がしてグラスを手に取り、ストローを使わず一気に喉に流し込んだ。

さっぱりした甘みと弾ける炭酸を感じても、残念ながら気分は少しもスッキリしない。

飛島に会釈して逃げるように店を出た果歩は、薄暗いビルの外へ飛び出す。

濡れたアスファルトが街灯や車のライトを反射させている。

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