内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
雲の切れ間に夕日がわずかに見えているが、まもなく沈むことだろう。

雨はポツポツと顔にあたる程度で傘は必要ないようだ。

この道を左に五分ほど行けば電車の駅で、書店まで迎えに来てくれた卓也と並んで歩いたことが何度もある。

雨の日は相合傘をしたことも。

なにを見てもなにを考えても卓也の顔が浮かんできて、また涙があふれた。

(晴れないでよ)

頬が濡れているのを雨のせいにできず、果歩は片手で顔を隠すようにして駅までの道を走った。



梅雨が明けて真夏の太陽がギラギラと照りつける。

森ノ屋書房のレジカウンター内にいる果歩は、伝票を見ながら電話をかけていた。

「ご注文いただいた商品が届きましたのでご連絡いたしました。――はい、ご来店お待ちしております。失礼いたします」

受話器を置いて無意識にため息をつく。

すると隣で客対応を終えた店長に注意された。

「客前でため息をつくな。体調不良なら申告して休みなさい」

「すみません。体調は大丈夫です。気をつけます」

卓也と別れて二週間ほどが経つが、まだ失恋の傷が癒えない。

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