内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
香りが控えめな柔軟剤とシャンプー、歯磨き粉とゴミ袋をカゴに入れ、他に買うものがあっただろうかと考えながら商品棚の間をゆっくり歩く。

生理用品の棚に差しかかり、いつも使っている商品を取ろうとして、ふと手を止めた。

(ナプキンはまだたくさんあった気がする。今月の生理、まだだった。そういえば随分と遅れてる……)

果歩の生理周期は三十日で、これまでほとんど乱れたことがない。

それなのに気づけば十日も予定日を過ぎていて、自分の体が心配になった。

(生理も来ないし、吐き気もするし、疲れやすくなった気もする。失恋ショックが、こんなに体調に影響をもたらすものなの?)

不安感から瞳を揺らすと、生理用品の隣に置かれた妊娠検査薬が目に入った。

『もしかして、つわり?』

三日前に遥かに聞かれたことを思い出し、ハッとして青ざめる。

(まさか、そんな。でも……)

避妊は卓也任せで、意識したこともなかった。

妊娠の可能性を考えて、それを否定するために検査薬を手に取る。

(きっと違う。それを確かめよう)

別れた恋人の子供を身籠るなんて、喜べずに困るばかりだ。

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