内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
あのメッセージは間違いなく果歩からのもので、自分はフラれたのだと認めないわけにいかなかった。

突然仕事を辞めたのは、卓也に会いに来られると困るからだろう。

強い別れの意志を感じ、諦めなければと自分の心と闘ったが、日が経つほどに恋しさは募るばかりだ。

我慢できないほどに会いたくなる日もあり、昨日は果歩の自宅アパートを訪れた。

するとポストにはテープが貼られて郵便物が投函できない状態になっており、引っ越した後だと知った。

(俺に会いたくないから引っ越したのか。果歩は今、どこにいる? 好きになった男とうまくいって、同棲しているのかもしれないな)

他の男に笑顔を向ける果歩を想像し、嫉妬で胸が引き裂かれそうなほどに痛んだ。

第一事業部のドアに差しかかり、入ろうとしたら、和樹に腕を引っ張られた。

「休憩してからにしよう」

「忙しいんだ。時間がない」

「コーヒー一杯飲むくらい、いいだろ」

強引に連れていかれたのは、同じフロアの端にある休憩所だ。

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