内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない

『業務に対する私のビジョン、姿勢、熱意をわかりやすく周囲に伝える。簡単に言えば、自分が楽しんで仕事をしている姿を見てもらうことです。リーダーシップとは仲間を引っ張っていく力のように捉えがちですが、ついていきたいと思わせるような仕事をしたいと思います。それが私の考えるリーダーシップです』

父から合格点をもらって果歩に感謝するとともに、もっと彼女のことが知りたくなってデートに誘った。

果歩はこれまで卓也に接近してきた女性たちのように色目を使ったり、思わせぶりな話し方をしたりはせず、素直で純粋で計算がない笑顔を見せてくれた。

裏表がないから信用でき、一緒にいる時間が心から楽しかった。

デートを重ねるうちにすぐに赤くなって男性に慣れていないウブな部分も見せてくれて、その可愛らしさに惹かれていった。

（あんな別れ方をされても果歩への愛情は減るどころか、強まる一方だ）

最愛の恋人が離れてしまった痛みに唇を噛み、卓也はエレベーターを降りた。

重役の執務室があるこの階は絨毯敷きで、足音の響かない廊下を奥へ進み、社長室のドア前で立ち止まる。