内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
最近の政治情勢や椿姫の父の堅実な仕事ぶりへの讃辞に始まり、卓也が十月から手掛けるワクチン開発のプロジェクトなどを話した後、母が唐突に切り出す。
「さっきから口数が少ないけど、卓也はおきれいな椿姫さんに気後れしているの? 椿姫さんも今、交際しているお相手がいないそうよ。申し込んではどう?」
(やはり、それか。父さんは息子といえども人の恋愛の仲立ちする性格ではないが、まんざらでもない顔をしているな。俺と椿姫さんが結婚すれば、六王寺事務次官と縁ができる。新薬認可の件で便宜を図ってもらう魂胆か)
果歩を忘れられない限りは新たな恋が始められないだろうし、政略結婚などごめんである。
「母さんは冗談が好きだな。俺はまだ半人前だから今はがむしゃらに仕事をする時期なんだ。椿姫さんなら引く手あまたでしょう。余計なお節介は焼かない方がいい」
笑って流そうとした卓也だが、母は余裕の笑みを浮かべて話を終らせようとしない。
「さっきから口数が少ないけど、卓也はおきれいな椿姫さんに気後れしているの? 椿姫さんも今、交際しているお相手がいないそうよ。申し込んではどう?」
(やはり、それか。父さんは息子といえども人の恋愛の仲立ちする性格ではないが、まんざらでもない顔をしているな。俺と椿姫さんが結婚すれば、六王寺事務次官と縁ができる。新薬認可の件で便宜を図ってもらう魂胆か)
果歩を忘れられない限りは新たな恋が始められないだろうし、政略結婚などごめんである。
「母さんは冗談が好きだな。俺はまだ半人前だから今はがむしゃらに仕事をする時期なんだ。椿姫さんなら引く手あまたでしょう。余計なお節介は焼かない方がいい」
笑って流そうとした卓也だが、母は余裕の笑みを浮かべて話を終らせようとしない。