愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
 社会人で忙しくしながらも紘人との交際は順調だった。連絡をくれたり、次に会う約束を取り次ぐのは紘人のほうが多くて、大事にされていると実感する。

 あるとき紘人の友人でありともに会社を立ち上げた佐竹(さたけ)さんを紹介され、一緒に食事をする機会があった。

 紘人よりふたつ年上で、実家は情報処理サービス業をメインとして行っている株式会社ネクタリイらしく、佐竹さんは跡を継ぐより自分の会社を立ち上げたかったらしい。そのときは絶対に紘人に声をかけようと決めていたんだとか。

 いかに紘人が優秀ですごいのかを熱く語る佐竹さんに、紘人は嫌そうな顔をして時折口を挟む。そんなふたりを見て、自然と笑みがこぼれた。

 紘人のシステムエンジニアとしての能力の高さ、若くして様々な資格を取得し、大学での研究はもちろん企業から多数声がかかったことなど、初めて知る話ばかりだった。 

 つくづく紘人はすごい人なんだな。佐竹さんみたいな人もそばにいるんだから。

 ひとしきり盛り上がったところで、紘人が席を外した。そのタイミングを見計らったかのように佐竹さんが話しかけてくる。

「あいつ、すごく愛理ちゃんを大事にしているんだ。ちょっと向こう見ずなところがあるけれど見放さないでやってほしい」

「ふふ。それはこっちのセリフですよ」

 ふと、気になるときがある。見た目もよくて、優しくて穏やかで仕事もできる紘人がどうして私に告白したんだろう。異性に想いを寄せられた経験は一度や二度ではないはずだ。恋人だってそれなりにいたはずだろうし……。
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