愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
「三木さんに聞いたんだ」
私の顔色を読んだかのように彼は答える。三木さんは父の会社の役員をしていて、父と個人的にも親しい間柄だ。私も顔を知っていて、そんな三木さんが紘人にこの住所を教えたのが意外だった。
紘人はそこまで三木さんをはじめとする役員の信頼を得ているんだ。複雑な想いを抱えながら彼から視線を逸らす。
「ちょっと待っていて」
そう言って改めてドアを閉め、中にいる母に事情を話す。母は驚きながらも自分は席を外したほうがいいだろうと買い物に出かけてくると提案してきた。
ここは素直に母に甘えよう。真紘を一度リビングのソファのそばに置いて、ぐずりそうになる前に最近お気に入りのライオンのぬいぐるみを渡す。
「あー、たっ」
ぎゅっと抱きしめ、しっぽの部分を噛みだす。歯が生えているのでむず痒いのだろう。その表情からしても眠たいのが伝わってくる。そっと部屋を抜け出し、再び玄関に向かった。
「お、お待たせ。散らかっているけど……どうぞ上がって」
律儀にドアの向こうで待っていた紘人に声をかける。まさか彼を家に上げる日が来るとは思わなかった。紘人は先ほど会社で会ったときと同じ格好で、おそらくあのあとすぐにここに来たのだろう。思えば私もワンピースのままだ。
「あの、子どもがいて……」
リビングに向かう前にぎこちなく切り出す。さっきは紘人の子どもじゃないととっさに言ってしまった手前、どうも気まずい。やっぱり嘘はつくものじゃない。
「ああ」
けれど紘人は深く追及してこず軽く頷いた。
私の顔色を読んだかのように彼は答える。三木さんは父の会社の役員をしていて、父と個人的にも親しい間柄だ。私も顔を知っていて、そんな三木さんが紘人にこの住所を教えたのが意外だった。
紘人はそこまで三木さんをはじめとする役員の信頼を得ているんだ。複雑な想いを抱えながら彼から視線を逸らす。
「ちょっと待っていて」
そう言って改めてドアを閉め、中にいる母に事情を話す。母は驚きながらも自分は席を外したほうがいいだろうと買い物に出かけてくると提案してきた。
ここは素直に母に甘えよう。真紘を一度リビングのソファのそばに置いて、ぐずりそうになる前に最近お気に入りのライオンのぬいぐるみを渡す。
「あー、たっ」
ぎゅっと抱きしめ、しっぽの部分を噛みだす。歯が生えているのでむず痒いのだろう。その表情からしても眠たいのが伝わってくる。そっと部屋を抜け出し、再び玄関に向かった。
「お、お待たせ。散らかっているけど……どうぞ上がって」
律儀にドアの向こうで待っていた紘人に声をかける。まさか彼を家に上げる日が来るとは思わなかった。紘人は先ほど会社で会ったときと同じ格好で、おそらくあのあとすぐにここに来たのだろう。思えば私もワンピースのままだ。
「あの、子どもがいて……」
リビングに向かう前にぎこちなく切り出す。さっきは紘人の子どもじゃないととっさに言ってしまった手前、どうも気まずい。やっぱり嘘はつくものじゃない。
「ああ」
けれど紘人は深く追及してこず軽く頷いた。