王子様は拗らせお姫様の虜
「ンッ……ち……とせ?」

「いるよ」

ようやく開いた切長の瞳を覗き込めば、僕が小さく映り込む。

「あ……ごめん、ありがと」

実花子は、起き上がると、僕が、着せた浴衣を見つめた。

「僕こそ、ごめん。優しく抱いてあげれなくて、その……」

頭を掻いた僕を見ながら、実花子が、クスクスと笑う。

「え?何?」

「千歳も完璧じゃないのね」

僕は、思わず、目を見開いた。

「え?」

「千歳って、いつも涼しい顔して、何でも完璧だから」

「当たり前じゃんっ、僕だって、余裕ない時あるからっ」

(あ、嘘だな……)
実花子の事になると、いつだって僕は余裕なんてない。

「良かった」

「何?実花子、どうゆう意味?」

「千歳は、知らなくていいの」

実花子が、嬉しそうに僕の首に両手をまわすと、頬にキスを落とす。

そして、そのまま、実花子の唇は、浴衣姿の僕の首元に当てられてチクンとする。  

「ちょっ……実花子っ!」

いつもつけるばかりで、女の子からキスマークをつけられたのは、初めてだ。
< 16 / 20 >

この作品をシェア

pagetop