私は人魚姫
チョロイな~。

そう言おうと思ったけど、渚の顔を見ていたら、なんだか言葉が出なかった。

人間の姿でいられるのは6日間。

その事を、思い出してしまったんだ。

そんな私の顔を見て渚が言った。



「良いとこ連れてってやるよ。」

「えっ、ホント!?」

「ああ。お前が好きそうなとこ。」



私の言葉に渚は自信満々な顔だ。

可愛い。

この笑顔、今だけは独り占めできる。

多分この時が私の人生のなかでの一番の幸せ。

そう思いながら私は、渚の隣を歩いた。



「着いたぞ。」

「わあー!!」



目の前に広がる光景に、声を出さずにはいられなかった。
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