私は人魚姫
そう言った渚の顔は、なんだか誇らしそうだった。



「一時一時を大切にしているのは、人間も同じでしょ?」

「ああ。

そうだな。」



自分で言ったくせに、"人間"という言葉が哀しかった。

私も人間になりたかったと思ってしまった。

仕方ないのに...

この地球上に産まれて貴方と出逢えたこと、それは幸せだというのに。

神様を憎んでしまった。

私も、人間として産まれたかったと思ってしまった。

ごめんなさい神様。

でも、私は本当に、渚が好きなの。

人間だったら渚と一緒にいれたのに、と思ってしまったの。

哀しげな表情をしている私を見て、渚はなにか気付いたんだろう。
< 12 / 24 >

この作品をシェア

pagetop