私は人魚姫
ただただ、私の手を握ってくれた。何も言わず、ただ。

渚の手から伝わってくる体温が、本当に暖かかった。

渚の気持ちも、とても嬉しかった。

このまま時間が止まってしまえば良いのに。

そしたら6日間なんて期限もなくて、渚とずっと一緒にいられるのに。

本当に、ただひたすら、この時が止まってしまう事を、私は必死で願った。

そんなとき、渚が手を離した。

その瞬間が、とても怖かった。

嫌われたのかと思った。

なんで?

と、疑問ばかり頭に浮かんだ。

でも、次の瞬間、渚はまた、私の手を握り締めた。



「渚?どうしたの?なにかあった?」



私はそう、声をかける。

でも、渚からの返事はない。
< 13 / 24 >

この作品をシェア

pagetop