私は人魚姫
明日、渚に「ごめんなさい。」って、言わなきゃ。

渚が悲しむことになる。

それだけは、絶対に嫌だから。

そろそろ、渚が食事を持ってきてくれる時間だ。

コンコン

ノックされたから、ドアを開けると、渚が立っていた。



「魚々、食事を持ってきたぞ。」

「ありがとう。」

「ああ。」

「あのさ、渚。」

「どうかしたのか?」



一瞬、言うのをためらってしまった。

けど、ここで言わなきゃ...

でも、私には無理だった。



「ごめん。

なんでもない。」

「そうか。

じゃあな。」



私は、遠くなっていく渚のことをずっと見ていた。

せっかく、言えそうだったのに。

私の意気地無し。
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