【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


怪我の状態が気になって忘れていたけれど、怜央たちは私を助けに来てくれたんだった。

あとで皆にもお礼を言わないと。

「本当にお前は……」

私の言葉に怜央が盛大なため息をもらす。


えっ、私が言わなきゃいけないのってお礼じゃないの?

首を傾げる私に怜央が言う。


「……なんで俺を責めないんだよ」

責める??


「責めるようなことあったっけ?」

「あるだろ。護るって言ったのにこの有様だ」

「この有様って……。こんなことになったのは私の警戒心のなさが原因だし、怜央はちゃんと助けに来てくれたじゃない。だから、私の言葉は間違ってないよ」

「いや。危険な目に遭わせてるのは俺なんだから、瑠佳が礼を言うのはおかしいだろ」

そんなことない。

“傷ひとつ、つけさせねぇ”

怜央はその宣言通り、私を護ってくれた。



「それなら私だって同じじゃない?危険だってことをわかった上で怜央のそばにいるんだから謝罪なんていらないよ」

怜央の背中をぽんぽんと軽く叩くと、強く抱きしめ返された。



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