【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
「あの……!家に上がる前に、もう一つ確認しておきたいことがあるんだけど」
「なんだよ?」
「付き合ってもいない男女が一夜を共にするのってあり……?」
怜央の家には今まで何度か足を運んだことがある。
けれど、それは私が怜央の姫だということをアピールするため。つまり、仕事だった。
でも、今は……?
「一夜を共にするって……。他に聞き方なかったのかよ」
「ゔっ、ごめん」
「瑠佳が嫌がるようなことはしない。約束する。だから、今日は俺のそばにいろ」
怜央は「これでいいか?」と私に尋ねる。
「あ、えっと、怜央が私に手を出すなんて思ってないから、そこは大丈夫!」
「は?男の家に泊まるなら、ちょっとは危機感持てよ」
「ちょっ、私はどうすればいいの!?」
戸惑う私を見て怜央が笑う。
「俺は手を出さないけど、世の中には危ない奴もいるって話だよ」
その言葉にチクリと胸が痛む。
これじゃあまるで、手を出されたかったみたいだ。