【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
「他に確認しておきたいことは?」
「……ない」
「じゃあ、今夜はうちに泊まる。それでいいな?」
私が頷くと怜央は安堵の表情を見せる。
私にそんな顔をしないで。
大切にされればされるほど、胸が苦しくなる。
当たり前のようにそばにいられる“彼女”のことが私は───。
「荷物、適当に置いていいから」
「あ、うん」
私をリビングに残して、奥の部屋へと姿を消した怜央。
戻って来た時には、バスタオルと部屋着のようなものが握られていて「ほら」と言って手渡された。
「先に風呂入れよ。俺、夕食の準備しておくから」
「ここは怜央の家なんだから怜央が先に入りなよ。夕食も嫌じゃなければ私に作らせて」
「嫌とかはねーけど、今日は色々あって疲れただろ?」
「え、そんな風に見える?私、すっごく元気だけど。それに、料理なら苦じゃないから大丈夫。何もしないのはさすがに気が引けるし」