主役になれないお姫さま
例の件で松山に呼ばれた。

「何か進捗があったのか?」

副社長室の応接ソファーに腰をかける。

「どちらが主犯かわからんが山田さんが処理した佐々木の経費精算の殆どが水増し、もしくはカラ出張だった。」

「…そうか。」

「お前が教えてくれなければ気が付かないところだった。ありがとな。」

松山は調査した資料を俺に渡したので、パラパラとめくって内容を確認する。

「いや、俺も吉川のヒントからなきゃ分からなかった事実だよ。」

嫌がらせは別として、取り敢えず不正に関しては立証できそうだ。

「まだ、過去に遡れば出て来そうだから引き続き調査している。全て明らかになるまでは内密に頼む。」

「ああ。わかってる。」

「三浦さんへの嫌がらせの件はどうなんだ?」

「証言は取れそうだが証拠がない。」

「そうか…。厄介だな。」

松山はビル内の監視カメラを全部確認してくれたが残っている画像では怪しいものは確認できなかった。
吉川から聞いた木村さんに話を聞いて確認してみたが、たまたまトイレの個室に入っていた時に聞いた話だという。流石に女子トイレにカメラは無い。

「1番厄介なのは彼女が助けを求めていないと言う事だ。アイツなら2人を庇って嫌がらせなんて受けてないって言いそうだ…。」

松山の秘書が用意してくれたコーヒーをのむ。

「そういや一真、例の前の職場の件はどうなった?」

「マンションのコンシェルジュに確認したが動きは無さそうだ。前の家を引き払って、半年も日本にいなかったんだ、もう大丈夫だろう。」

「三浦さんもいる事だし、念のため気をつけろよ。」

「わかってる。まぁ、次は無いって社長に言ってあるから大丈夫だろう。一筆書かせたし。」

しかし、この考えが甘かった。
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