微妙にHではない恋愛@異文化交流物語・魔法の恋の行方シリーズ7・アラゴンとアクア
アラゴンは周囲を見回し、
もちろん、ここは二人っきりしかいないが、それを確認すると

「それでは魔族の契約のキスを、ベロチューだかんな」

「ベロチューって?」

アクアが聞き返す前に、アラゴンはその唇をふさいでしまった。

花の雨は、地面に触れると、
淡雪のように消えてしまう。

その中、二人は抱き合い、何回もキスをした。

腕の中のアクアは、はかなく、
華奢で、砂糖菓子のように甘い。

「あなたの伯父様は、フェアリーに愛されていたのですよ」
アクアは、小さな声で言った。

「うん、そうだね」
アラゴンは、この場所で
伯父さんが幸せそうな顔をしていたのが、理解できたような気がした。

温室の天井から見える空は、すでに群青で
白っぽい満月が浮かんでいる。

この廃墟の館を、再興して、
温室も花でいっぱいにしよう。

アラゴンはアクアを抱きしめながら、考えていた。

伯父さんの意志を受け継ごう。
イリスの通販は、許可してもいい、そう思った。
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