死神キューピッド
その献花台のすみっこに、手にしていた花束を置いた。


手を合わせ、自分の非を詫びた。


どれだけ詫びても詫びきれない。


どうか、せめて、向こうの世界では穏やかでありますように。


ガキが、俺の隣で真似をして手を合わせる。


そのガキによると、毎日、ここに花を手向けに来て、献花台の掃除をしているらしい。


くしゃっと頭をなでると、にっとガキが笑う。


軽くその親子に頭をさげて、親父の病室に向かった。


相変わらず親父はわがまま三昧で好き勝手言ってるが、時折、ぽつりとおふくろのことに触れる。


「そっか、母さんもひとりなのか。だれかいてくれれば本当は、安心なんだけどなあ」


言いながら、どこかホッとしているように見える親父は、どちらも本心なんだろうと思う。


今日は、親父の面会に来たわけじゃない。


花を手向けに来たついでの面会だ。


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