死神キューピッド
は?


泣いてたんじゃねえのか?


ぽかんと口をあける俺の首に、ぷにぷにした両腕をくるりと巻き付けて、ガキが笑う。


「パパっ、たかいっ!」


「いや、え?」


たった今、ギャン泣き寸前だったのに、なんで?


「ご、ご、ごめんなさいっ。ハルキ、降りなさい。ほら、ママにきて」


若い母親が、慌てて”ハルキ”に両手を伸ばしたものの。


「いやっ! パパがいいっ。はるき、パパがいいっ」


ハルキの両腕に力がこめられて、おそらく逆効果。


つうか、苦しい。


……すげえ力だな。


とにかく、ここでギャン泣きされるくらいなら、この際、なんて呼ばれようが構わない。


それにしても、おっそろしいな、子どもって。


泣き顔ひとつで、大人を操作しやがる。


目線のそろった小動物ハルキは、澄んだ瞳をこっちに向けて、丸々と笑っている。


「ハルキっていうのか?」


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